新型コロナウイルス感染症が5類感染症になりました。コンビニのレジのカーテンや飲食店のアクリル板を撤去している映像を見ながら、コロナ禍でプラスチックの需要は増したんだろうなぁと思っていました。
このプラスチックについて、化学でちょうど学んだところ。そこで、職場で使用している使い捨て手袋について調べてみました。
コロナが落ち着きムードになった今、なぜ手袋についてかというと、それには理由があります。
コロナ禍で施設では、病院より感染対策物品が手に入りにくい状態でした。使い捨て手袋もその一つ。手に入ってもとんでもない高値で、職場では100円ショップのポリエチレン手袋を塩化ビニルの手袋と併用して使うことになりました。
現在はポリ塩化ビニル手袋の供給・価格は安定していますが、職場では未だに併用をしています。コロナ禍で自治体から寄付されたポリエチレン手袋を消費しなくてはならないからです。
物品の供給が戻った今、このポリエチレン手袋をどう使うべきなのか?
化学の視点を含めて考えてみたいと思います。
※本記事は、個人の経験や調査に基づき執筆しており、情報の正確性や最新性を保証するものではありません。
使い捨て手袋の種類
使い捨て手袋にはプラスチック製とゴム製とあります。
プラスチック「塩化ビニル」「ポリエチレン」
ゴム「ニトリル」「ラテックス」
これらが代表的な材質で、様々な現場で特徴によって使い分けがされています。
今回比較するのは、職場で使用しているプラスチック製のポリエチレンとポリ塩化ビニルの2種類になります。
特徴
●ポリエチレン
最も低コスト。
手指にフィットしないため細かい作業には適さず、ペラペラで破れやすいというデメリットがあります。
市販の毛染めについてくる手袋です。
医療処置には使いにくく、少なくとも私が見てきた医療現場では、使用場面は限られている印象です。
安価であるため、家での介護や掃除に使っている方も多いです。
ゴムや塩ビでかぶれる人はいますが、ポリエチで手がかぶれている人は見たことがありません。肌と密着しないのもかぶれにくい理由かもしれません。
●ポリ塩化ビニル
コロナ禍でよく見かけたレジの透明のカーテンはこの素材です。
ポリエチレン手袋よりも強度や伸縮性が高いため幅広く使用されていますが、手袋の箱に『調理には使用しないこと』と書かれています。
調理への使用ができないタイプのポリ塩化ビニル手袋では、食品に触れる用途に適さない可塑剤が使われている場合があります。
そのため、使用時は製品表示を確認する必要があります。
構成する元素の違い
ポリエチレンは エチレンの付加重合、ポリ塩化ビニル は塩化ビニルの付加重合によって得られる高分子です。

ポリ塩化ビニルは塩素を含むため、極性を有するプラスチックです。
塩素原子は電気陰性度が高いため、分子内で電子を引きつける力が強く、部分的に負の電荷を帯びます。すると塩素が結合した炭素原子が部分的に正の電荷を帯びます。
このように、塩素原子を含む有機化合物は塩素原子と結合した部分が極性を持ち、分子全体として極性をもつことが多いのです。
極性というのは分子の内部でプラスの荷電とマイナスの荷電を持つ部分に偏りやすい性質のこと。
このプラスとマイナスの部分の作用で分子同士が引き合って、プラスチックは硬くなります。
ポリ塩化ビニルは、極性による強い相互作用が働くため、ポリエチレンに比べて密度が高く、硬く、耐薬性や耐油性が高いとされています。
ただし、ポリ塩化ビニルは柔軟性に欠けるため、手袋にする際は可塑剤を添加します。
柔らかなフィット感はこれによるもののようです。
食品衛生法にひっかかるのはこの可塑剤、非フタル酸エステル、という成分です。
可塑剤とは、ある材料に柔軟性を与えたり、加工をしやすくするために添加する物質です。下の図のように分子間に入り込むことで柔軟性が生まれます。

一方、ポリエチレンは炭素と水素のみで構成されており非極性分子であるため、分子間の力は弱くなります。このためポリエチレンには柔軟性がありますが、引っ張りやすく破れやすいという特徴があります。
結晶構造の有無
下の図のように、プラスチックには冷えて固まった状態の分子の集まり方にも違いがあります。

ポリエチレンは分子が規則正しく並んだ結晶化した部分を持つ結晶性プラスチックです。
一方塩化ビニルは、結晶化した部分を持たず分子が不規則に絡みあっただけの状態で、非晶性プラスチックです。
この結晶構造の有無によりプラスチックの性質の違いが現れます。
結晶部分には薬品が入り込みにくいため、結晶性樹脂の多くは非晶性樹脂に比べ耐薬性が強い傾向があります。結晶構造により、高い強度や硬度、耐熱性などが得られます。
結晶構造に着目するとポリエチレンの方が強く、耐熱性・耐薬品性に優れているようですが、手袋の場合、非常に薄い膜状の形状で作られるため、結晶性構造が不十分な場合が多く、強度や硬度が低くなります。
ポリエチレン手袋の使い道
構造や形状の特徴から、ポリエチレン手袋はフィットしにくく、脱げやすさや破れやすさがあるため、汚染リスクのある作業では使用場面に注意が必要です。
手袋がない時期はいろんな場面でポリエチレン手袋を使っていましたが、これからは病原体に触れない場面で手指の動きが少ない作業で使おうと思います。それと、調理加工作業はポリエチレン手袋の方がいいこともわかりました。
食事の準備、感染リスクが高くないと考えられる場面での食事介助、掃除など、手袋に高いフィット性や強度を求めない作業で活用していきたいと思います。
まとめ
使い捨て手袋の性質に影響を与える要因は様々ですが、化学的な構成要素や分子の配列による違いが大きな影響を与えています。
ポリエチレンは汚れや接触を避けるためのバリアとして使えますが、手袋としては薄く破れやすいものもあるため、菌やウイルスへの接触リスクがある作業では注意が必要です。
手袋の素材としてポリエチレンとポリ塩化ビニルを比較すると、フィット性や作業性の面では、ポリ塩化ビニル手袋の方が使いやすい場面が多いと感じました。
しかしポリエチレン手袋が活躍できる場面もありそうなので、残された手袋、有効活用していきたいと思います。
参照サイト
株式会社ジェイ・プラス https://www.j-plus.co.jp/index.html
Metoree産業用製品比較サイト https://metoree.com/
結晶性プラスチックと非晶性プラスチックの特徴 https://seihin-sekkei.com/plastic-design/crystalline-plastic/
使い捨て手袋を種類別に徹底比較! 木村容器株式会社 https://www.pack-kimura.net/brandnew/others/article111665/


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