飲みやすさを重視した栄養補助飲料『アリモア』

高齢になると、嚥下機能の低下だけでなく、食欲低下や少食によって低栄養になる方も少なくありません。
実際、今関わっている利用者さんの中にも、食事量が少なく、栄養補助飲料で何とか栄養を維持している方がいます。

今回は、この春にニュートリー株式会社から発売されたばかりの栄養補助飲料『アリモア』を取り上げます。

私がこの製品に注目したきっかけの一つが、2026年度の調剤報酬改定でした。

この記事では、この報酬改定の内容にも触れ、従来の栄養補助飲料との違いや、アリモアの特徴を、現場視点も交えながら解説していきます。

なお、本記事は筆者個人の見解・調査に基づいた内容です。
内容の正確性を保証するものではなく、紹介する製品の購入・使用は必ずご自身の判断と責任で行ってください。
記事中のリンクにはアフィリエイトを含む場合があります(PR)。

本記事の英語版はこちら→ALIMOA: A Nutritional Supplement Drink Designed for Easier Drinking(準備中)

調剤報酬改定と栄養補助飲料

少子高齢化とともに、日本の医療費は年々増加しています。
膨れ上がる医療費をどうにかしようと、近年では高額療養費制度の見直しやOTC類似薬の患者負担増などが話題になっていますよね。

その中で、2026年度の調剤報酬改定では、経腸栄養剤の処方についても適正化が進められることになりました。

経腸栄養剤とは、口からの食事が困難な方や、胃や腸の消化吸収機能が低下している方に向けて、医療用チューブや胃ろうを用いて腸から直接投与、または経口摂取で栄養を補給する流動食です。

食事の代わりになるくらい、高カロリーかつ必要な栄養素がバランス良く配合されており、液体・もしくは半固形のどろっとしたタイプもあります。

栄養補助飲料が食事の補助として利用される理由は、単に栄養価が高いからだけではありません。
処方薬として扱われることで医療保険が適用され、利用者さんの経済的負担を抑えながら続けやすい、というメリットがあるからです。

実際、栄養補助飲料は市販で購入すると普通のジュースよりやや値段の高いものが多く、そのため現場では、まずは処方で使えるものを提案することがよくあります。

それが、今回の報酬改定によって、今までのように提案できなくなるのです。

改定では、経腸栄養剤が処方できる対象患者を以下のように定めています。

・手術後の患者
・経管により栄養補給を行っている患者
・疾病の治療のために必要であり、他の食事では代替できないなど、医師が特に医療上、栄養保持を目的とした医薬品の使用の必要があると判断した患者

つまり単に食事量が少ないという人への栄養補助目的だけでは、保険適用が難しくなる方向となっています。

日々関わる高齢の利用者さんは、病気の影響ではなく、加齢によって食べられる量が減ってきて、食事だけでは栄養維持が難しい方が多くいます。
今後はそのような方へ処方で出すことは難しくなるということです。

制度としては理解できますが、そうなると現場では、そういった方の栄養補給を今後どうしていくのか、という新たな課題が生まれます。

今回アリモアに注目したのは、そうした新たな悩みからなのです。

従来の栄養補助飲料の課題

これまでは、処方可能な栄養補助飲料として、エンシュアやラコールなど、いくつかの製品が使用されてきました。

それぞれ成分や特徴に違いはありますが、少量で高カロリー・高栄養を摂取でき、効率よく栄養補給できるという点は同じです。

一方で、どの製品にも、ミルクのように濃くて甘い、という特徴があります。
私自身も試飲したことがありますが、濃厚でかなり甘く、「カロリーと栄養をぎゅっと詰め込みました」というような後味の重さがあります。

実際、高齢の方から、
「甘ったるくて飲めない」「入っていかない」
と聞くことも少なくありません。

もちろん、「甘くておいしい」と問題なく飲める方もいます。
ですが私の経験上では、「好きではないけど、栄養のために頑張って飲んでいる」という方が多い印象があります。

ではなぜ、従来の栄養補助飲料は、濃いミルキー感が出やすいのでしょうか。

その理由の一つは、高カロリー化の方法にあります。

飲料で効率よくカロリーを上げるには、脂質が有効です。
脂質は1gあたり9kcalと高エネルギーで、糖質やタンパク質の2倍以上のエネルギーを持つため、少量でも効率よくカロリーを高めることができます。

職場でよく扱う栄養補助飲料の成分を見てみると、コーン油、シソ油、魚油、ダイズ油などの油が数種類組み合わせて使われています。

しかし、脂質を飲み物に混ぜようとすると、水に溶けないという問題があります。

例えばドレッシングでも、油が上に浮いて分離していますよね。
本来、油と水は混ざりにくいものですが、栄養補助飲料では、それをタンパク質、ビタミン類などと水の中に均一に混ぜて、飲みやすいものにする必要があります。

そこで使われるのが、「乳化」という技術です。

乳化とは、本来混ざりにくい油と水を、細かく安定して分散させることです。
この時に使われる乳化剤は、水になじみやすい部分と油になじみやすい部分の両方を持っています。
これは、洗剤などに使われる「界面活性剤」と似た仕組みです。

乳化剤が油の粒の表面に並び、油側と水側の両方をつなぐことで、油同士が集まりにくくなり、水の中に細かく分散した状態を保てるようになります。

実は牛乳も、この乳化の一例です。

牛乳では、乳脂肪が水の中に細かく分散しており、カゼインなどの乳タンパクがその安定化に関わっています。

さらに栄養飲料では、カロリーだけでなく、筋肉維持や低栄養予防のためにタンパク質も重視されます。
そのため、カゼインやホエイなどの乳タンパクも多く使用されています。

このように、高カロリー飲料では、脂質や乳タンパクを使い、乳化によって飲み物として安定化させることで、どうしても牛乳のようなミルキーで濃厚な飲み物になりやすくなるのです。

そこに糖類の甘さを加えているため、独特の重さと甘さを生み、人によっては飲みにくいという問題につながっています。

アリモア

アリモアとは

栄養補助飲料の飲んだ感じの特徴は、処方の経腸栄養剤だけではなく、市販されている高カロリー飲料でもよく見られます。
実際に、ドラッグストアやネットでは、ミルクベースの同じような飲料はいくつかの種類が売られています。
なので、お金の問題さえ気にしなければ、代わりのもの自体は探すことができます。

でも、せっかく実費で購入することになるなら「少しでもその人に合った飲みやすいものはないか」と考えるようになりました。

そんな時に見つけたのが、『アリモア』です。

アリモアは、ニュートリー株式会社から2026年4月に発売されたばかりの栄養補助飲料です。


アリモア スイートシトラス風味 ニュートリー 栄養補助飲料 125ml 1本 バラ売り

製品紹介のページでは、
「すっきりおいしく最後まで飲める、
必要な栄養素に厳選した栄養補助飲料」
というキャッチコピーが掲げられています。

この言葉からも、高栄養だけではなく、飲みやすさを重視している製品であることが伝わってきます。

しかし、高栄養と飲みやすさの両立は簡単なことではないようです。

開発者の方からの声としては、
「栄養素を入れれば入れるほど味が甘く飲みにくくなり、『おいしい』からかけ離れてしまう」「甘さを調整すると素材の臭いが出てしまう」
という内容が記載されています。

ではここからは、アリモアが、甘すぎる・飲みきれない、などの現場の課題に対してどのようにアプローチした飲み物なのか、その特徴を見ていきます。

特徴

脂質0で高カロリー

アリモアでまず特徴的だと感じたのが、ミルキーではないクリアタイプの飲み物ということでした。

従来の栄養補助飲料は、乳製品のようなものが主流ですが、アリモアは透明なジュースのような見た目をしています。

左:アリモア 右:脂質入りの栄養補助飲料

前述したように、従来の栄養補助飲料では、脂質を多く使っているため、ミルク感や濃厚感、後味の重さが出やすい飲み物になりがちです。
一方アリモアは、125mLという少量で220kcalと高カロリーでありながら、「脂質0g」という特徴があり、それが透明な見た目につながっていそうです。

ここで疑問に思ったのは、
脂質を使わずにカロリーを増やすなら、砂糖をたくさん使ってかなり甘くなってしまうのではないか、
という点です。

では、どのように脂質なしで高カロリーにしているのでしょうか。

成分を見ると、「澱粉分解物、ブドウ糖、ガラクトオリゴ糖、麦芽糖」などの糖質が使用されています。
食品の原材料表示は、基本的に使用量が多い順に記載されていることから、アリモアでは、「澱粉分解物」がエネルギー源になっている可能性が高いと言えそうです。

澱粉分解物は炭水化物なので、1gあたり約4kcalのエネルギーを持っています。
ですが、砂糖のような強い甘味は比較的少ない、という特徴があります。
つまり、甘さを強くしすぎずにカロリーを確保していると考えられます

さらに、ブドウ糖、麦芽糖、ガラクトオリゴ糖など、甘味の違った糖質を組み合わせることで、甘さや後味を調整しているのではないかと思われます。

はっきりとした記載はありませんが、アリモアは、脂質を使わずに糖質を主体にすることで、高カロリーにしつつも甘さの調整に気を配って飲みやすさを実現しているのではないか、と考えられます。

必要な栄養素を厳選

もう一つ飲みやすさに繋がっていると感じたのが、必要な栄養素を全部入りにしていない点です。

栄養補助飲料では、栄養価を高めようとすると、脂質・タンパク質・ビタミン類・微量元素など、多くの成分を追加することになります。
栄養補助飲料というなら、それだけで何でも摂れる飲み物の方がいいようにも思いますよね。

でも、成分が増えるほど、独特の風味などにもつながりやすくなります。
栄養ドリンクや栄養補助食品を口にしたことがある方なら、栄養っぽい独特の味に心当たりがあるかもしれません。

アリモアでは、ビタミンDや亜鉛など、高齢者で不足しやすい栄養素は押さえつつも、入れすぎないことで飲みやすさを意識しているという印象を受けました。

HPにも「必要な栄養素に特化した飲料」と書かれています。

栄養素をあれもこれもと入れすぎないことで、飲みきることができ、そして続けることができる現実的なバランスを優先したのではないかと思います。

シトラス系のフレーバー

従来の高カロリー飲料では、いちご・バナナ・コーヒーなど、ミルク系と相性の良いフレーバーが主流です。
一方アリモアは、クリアな見た目に合ったシトラス系の風味です。

実は、すっきり飲みやすいことを意識したクリアタイプの栄養補助飲料自体は、アリモアが初めてというわけではありません。
例えば、アイソカルクリア(ネスレ)やすっきりクリミール(森永乳業)など、ミルク系ではない製品は以前から存在しています。

その中でもアリモアは、125mLで220kcalというより少量で高いカロリーを持ち、今までにあまりなかったシトラス系フレーバーである点が特徴的だと感じました。

柑橘系の風味には、爽やかでさっぱり飲めるという印象があります。
そのため、「ミルクっぽい飲み物が苦手」という方にとっては、従来の高栄養飲料より飲みやすく感じる可能性があります。

食べられずに栄養が不足している方にとっては、栄養を効率よく摂れること以上に、まず飲めることが大切です。
飲めなければ、栄養を摂ること自体ができませんからね。

そう考えると、シトラス系フレーバーにした点にも、最後まで飲みやすくするための工夫が感じられます。

栄養剤っぽくないパッケージ

従来の栄養補助飲料は、缶や医療用っぽいラベルのものが多く、栄養剤です感 が強いものが多いように思います。

一方アリモアは、紙パックタイプで、見た目もかなり一般的なジュースに近い印象です。

これはデザインの良さだけでなく、「栄養剤を飲まされている感じ」を減らす工夫でもあるのではないかと感じました。

見た目の印象が味に影響することもあります。
だからこそ、見た目が普通の飲み物に近いことは、実は結構意味のある工夫なのではないかと思います。

実際に飲んでみた感想

飲みやすさ

実際にアリモアを飲んでみて最初に思ったのは、「かなり普通のジュースに近い」ということでした。

シトラス系のフレーバーは強めで、嗅ぐとじわっと唾液が出るような感じがしました。
個人的な感想ですが、昔食べたスウィーティオという板ガムを思い出すような香りに近い印象です。

糖質量が多いためか、シロップのように少しとろっとした口当たりはあります。
ただ、それがミルク系のねっとり感とは違い、後味は比較的すっきりしていました。

また、栄養ドリンクや栄養補助食品にありがちな、栄養素の味のような独特の風味もあまり感じませんでした。

飲み終えた印象としては、高カロリー飲料として考えると、甘すぎずすっきりとして飲みやすい部類だと感じました。

パッケージ

容器についても工夫されており、ストローを差してでも、口を付けてでも飲めるようになっています。
コップへ注ぐことを前提とはしていないようですが、実際に注いでみると、特にこぼれやすい感じはありませんでした。

丸みのある紙パックで、全体的に栄養剤っぽさが少なく、普通のジュースに近い印象があります。

また、シトラス系フレーバーを連想させる爽やかな色やデザインも個人的に好印象でした。

従来の栄養補助飲料は、”栄養剤”という雰囲気の似たデザインが多いので、見ただけでその味を連想してしまうような方もいるかも知れません。
こうした見た目や容器の工夫も、「飲まされている感じ」を減らし、手に取りやすさにつながるかもしれません。

とろみづけ

とろみ剤を混ぜてみましたが、問題なくとろみをつけることができました。

高齢者では、嚥下機能が低下していてとろみが必要な方も多いため、この点は現場でも使いやすそうだと感じます。

腹持ち

以前、栄養補助飲料やゼリーを試飲する勉強会に参加した際、少量ずつしか口にしていないのに、その後胃がもったりしてしばらくお腹が空かなかった経験があります。
それは、脂質やたんぱく質を多く含む濃厚な栄養補助食品は、満腹感が出やすくお腹に溜まりやすいからだと思います。

しかしアリモアは、脂質0gであるため、腹持ちは従来の脂質入りのタイプほどよくないかもしれません。

ただ、食事の置き換えではなく食事の栄養補助として考えるなら、重たすぎないことは、次の食事の妨げになりにくいという利点になるとも思います。

利用者さんによる試飲

今回は、牛乳系の飲み物が苦手だけど、栄養補助飲料を何とか飲んでいるという利用者さんに試してもらいました。

アリモアについては、「いいねえ」「飲めるよ」とおっしゃって、これまでの栄養補助飲料よりもスムーズに飲まれていました。

まだ継続して使用したわけではないので、長く飽きずに続けられるかまでは分かりません。
ただ少なくとも、ミルク感や甘すぎるものが苦手という方にとって、取り入れやすい飲料だと感じました。

また、今までの飲料に飽きている方にとっては、味変としてもいいかもしれません。

注意点

●アリモアは食品として販売されている栄養補助飲料であり、医薬品として処方される経腸栄養剤とは違います。
食事の代わりとして自己判断で置き換えるのは避けた方がいいと思います。

●アリモアは糖質主体の飲料です。
そのため糖尿病などで血糖管理をしている場合は、医師と相談しながら取り入れる必要があります。

購入方法

アリモアは、2026年5月現在、公式サイトのほか、楽天などのネットショップでも購入可能なようです。

価格は販売サイトによって異なりますが、1本あたり220円位で販売されていることが多いようです。

ほとんどが箱でのまとめ売りですが、1本から購入可能や、少量のお試しで買える販売サイトもありました。


アリモア スイートシトラス風味 ニュートリー 栄養補助飲料 125ml 1本 バラ売り

(お試し6本セット) ニュートリー アリモア スイートシトラス風味 125mL×6本 (賞味期限2026/09/13)

また、ニュートリー公式サイトでは、病院・施設向けにサンプル請求の案内もあります。
公式サイト→https://www.nutri.co.jp/nutrition/alimoa/index.html

おわりに

高齢者の栄養補助では、栄養価が高いことや、おいしいことだけではなく、続けられることがとても重要です。
それは、栄養状態は、1回飲んだからといってすぐに変化が出るものではないからです。

だからこそ、「今日はこれなら飲める」という積み重ねが、実際の栄養管理では大切になってきます。

アリモアを実際に飲んでみて一番いいと思ったのは、栄養をたくさん入れることだけではなく、「どうしたら飲みやすくなるか、そして飲み続けられるか」を重視して作られている、現場の悩みの寄り添った製品だというところです。

脂質0gのクリアタイプ、シトラス系フレーバー、紙パックの見た目などがどれも、少しでも飲みやすくするための工夫としてつながっているように感じます。

特に、シトラス系のさっぱりした風味は、これから暑くなる時期にも合っていそうです。

栄養補助飲料を飲んでもらうことに苦労されている方や、今回の報酬改定で今後の栄養補助に悩まれている方は、一度試してみてもよいかもしれません。


本ブログでは、主に福祉用具や医療品が、現場でどのように受け止められるか、どのような場面で価値を発揮しやすいかといった点にも目を向け、医療・介護の現場の視点から、企業・事業者と現場をつなぐ橋渡しを意識して発信しています。

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※本記事の内容は参考情報であり、正確性を保証するものではありません。
製品の購入や使用はご自身の判断と責任でお願いいたします。

参照

ニュートリー株式会社 https://www.nutri.co.jp/nutrition/alimoa/index.html

ネスレヘルスサイレンス https://www.nestlehealthscience.jp/brands/isocal-ons-liquid/isocal-clear

森永乳業クリミール https://www.clinico.co.jp/products/assistance/drink/sukkiri.html

日本栄養士会 https://www.dietitian.or.jp/data/medical-fee/r08/document/r8_medical-fee46.pdf

日本化粧品工業会 https://www.jcia.org/user/public/knowledge/explain/surfactant

太洋工業株式会社 https://www.taiyokagaku.com/lab/emulsion_learning/01

多糖類.com https://www.tatourui.com/

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