近年、「口の健康」が注目されるようになってきています。
厚生労働省でも、全身の健康と口腔の健康の関係に着目し、歯科健診の推進やオーラルフレイル対策などが進められています。
こうした流れの中で、口腔ケアを支える機器や技術にも関心が高まっています。
今回取り上げるのは、ファインバブルを用いたマウスピース型口腔洗浄器『オーラバブル』です。
この記事では、公式情報や特許の内容をもとに、詳しい仕組みを解説していきます。
そして介護や医療の現場での活用についても考えていきます。
なお、本記事は製品開発者様より記事作成の了承を得たうえで執筆していますが、依頼・広告記事ではありません。公開情報や特許内容をもとに、筆者が看護師の立場から考察したものです。
本記事の英語版はこちら→How Orabubble Works: A Mouthpiece-Type Oral Cleaner You Simply Hold in Your Mouth(準備中)
医療・介護現場で口腔ケアが持つ意味
口腔ケアというと、むし歯や歯周病の予防を思い浮かべる方が多いかもしれません。
でも、医療や介護の現場では、それだけではありません。
口の中を清潔に保つことは、口臭の軽減や本人の快適さにつながるだけでなく、食事や会話のしやすさにも関わります。
高齢の方では、歯や口の状態が生活機能の維持にも関わることが知られており、厚生労働省も、歯や口の健康を「食べる」「話す」といった機能と結びつけて紹介しています。
また、口腔ケアは誤嚥性肺炎予防の観点からも医療・介護現場ではとても重要なケアで、特に、飲み込む機能が低下して、食べることができない人に対する大切な視点です。
私自身、高齢者の介護・医療の現場で、利用者さんの口の中の状態を見ることできちんとしたケアが行えているかどうかを確認することがあります。
それほど口の中の状態は日々のケアの質をよく表すものですが、現場によっては重要視されていないこともあり、行う人によってケアの質に差が出てしまうこともあります。
現場での口腔ケアの難しさ
ほとんどの方は、食べるたびに歯を磨くかと思います。
介護施設でももちろん、基本的に食べることと口腔ケアはセットで行います。
そして、口から食べることができない人にも、基本的には同じように口腔ケアを行います。
口腔ケアが大変なのは、このように1日に何度も必要なケアだから、というだけではありません。
実際には、
●時間がかかる
●利用者さんに嫌がられる
●職員によってケアの質が変わる
●噛まれる危険がある
●うがいでむせる
といった、いくつもの問題があります。
オーラバブルの施設向けページでも、こうした現場での課題が挙げられています。
個人的にこの中でも大きいのは、口腔ケアがかなり手技に左右されやすい点だと思います。
なぜなら、介助者の手技によってケアの質に差が出るだけでなく、時間がかかったり、本人にとって不快なケアになったり、さらには拒否や噛まれる事故のリスクにもつながるからです。
私たちは、学校や歯医者で歯磨きを習ったことがあります。
それでも定期的に歯科で衛生士さんにケアしてもらうことがありますし、上手く磨けない子どもには仕上げ磨きをしますよね。
それだけ、歯磨きは簡単そうに見えて実は技術が必要であるため、介護や医療の現場でも人への口腔ケアの方法を学び、練習をします。
でも、きちんと行おうと思うと、歯の表面だけでなく、歯間、歯ぐき、舌、頬の粘膜なども見ながらきれいにしなくてはなりません。
さらに、人の口腔ケアを行う場合には、本人がどの程度口を開けられるか、協力できるかによっても難しさが変わってきます。
短時間だと清掃が不十分になりやすく、丁寧にやろうとすると時間がかかってしまいます。
ここに、限られた時間と人手でケアをしなくてはならない現場での難しさがあります。
そして、この「手技に左右されやすい」という問題は、磨くことだけの話ではありません。
従来の口腔ケアは、部位ごとに細かく方法を変えながら行う必要があり、さらに「磨く」「歯間や舌を清掃する」「すすぐ」といった工程に分かれます。
そのひとつひとつの動作を人の手で、相手の状態にも合わせて行うため、どうしても手技依存になりやすいのです。
この問題意識は、特許の背景説明にも表れています。
特許文書では、
従来の歯ブラシや電動歯ブラシでは「歯を磨く」と「すすぐ」が分かれていること、
歯間の清掃にはさらに別の器具が必要になりやすいこと、
マイクロバブルやナノバブルを用いた既存の技術も、結局は歯ブラシ型やノズル型で、歯を1本ずつ磨く、歯間を1つずつ掃除するという発想にとどまっていること、
が指摘されています。
つまり、オーラバブルの開発のきっかけには、口腔ケアという行為を、もっと簡単に一気に行うことができ、もっと扱いやすいものにできないか、という問題意識があったと考えられます。
オーラバブルの概要
オーラバブルとは
オーラバブルは、マウスピース型口腔洗浄器で、内科医である小河原悟先生がお父様の在宅介護の経験をきっかけに着想し、様々な公的支援を受けながら開発に至った機器とのことです。

利用者さんが専用マウスピースを口にくわえることで、ファインバブルを含んだ微細な水流が口腔全体に行き渡り、洗浄を行う構造になっています。
公式サイトの製品の説明では、
咥えて1分で使える、
入水と排水が分かれている、
電気や大掛かりな工事が不要で、既存の洗面台やシャワーから分岐して設置できる、
などと書かれています。
製品の特許を読むと、発明の重要な点は、洗浄力のあるファインバブルを含む液体を、安全に口腔内全体に効率よく届けることができる、という設計のようです。
オーラバブルの特徴
ではここからは、製品の設計がどのような特徴を生み、どのようなメリットに繋がっているのかを詳しく見ていきます。
形状
製品の特許では、器具は上顎と下顎の歯の間に保持される歯列形状部分を持ち、利用者さんがそれを噛んでくわえることで使用する構造になっています。

しかもこの部分は、歯列に沿う略平板状の形状とされ、そこへファインバブルを含んだ液体が流れ込み、上下の歯に当たり、口腔内全体に液体が行き渡るように設計されています。

従来の歯ブラシ型やノズル型の洗浄機器は、「狙った所に当てる」という発想でした。
それに対してこの製品は、歯列全体をまたぐ構造となっているため、液体を一気に広い範囲へ働きかけるもので、機器の形状がその特徴を作り出しています。
「磨く」と「すすぐ」の一体化
特許の目的として記載されているのは、磨く工程とすすぐ工程の一体化です。
使用者が器具をくわえるだけで、口腔内の洗浄と歯牙表面の洗浄を一気にできるようにすることが狙いとされています。
これは現場的には、かなり大きな意味があります。
口腔ケアの手順は、準備、歯磨き、すすぎ、吐いた水の処理まであります。
そこを一つの機器で行えるようにしている点が、ケアをする側と受ける側の手間を減らすことに繋がりそうです。
給水と排水を分けた設計
さらに特許では、入水口と排水口を明確に分けている構造が示されています。

流入した液体は歯列方向に沿って広がりながら口全体へ流れ、同時に別の部位から排水される設計です。
更に、給水より排水圧の方を高くすることで、口の中に水がたまりにくく、むせや誤嚥のリスクを抑える構造だと説明されています。
これは、安全に関わるとても大事な部分です。
口に水を流すと聞くと、水が溜まって苦しくはないか、誤嚥をしてしまわないか、などの不安に思いますが、その不安を解消するのがこの流路の設計であると思います。
喉への直接噴射を防ぐプロテクタ
特許には、喉側に止水板(プロテクタ)を設け、歯がしっかり閉じられていない場合でも水流が喉へ直接噴射されにくいようにする工夫が記載されています。
水を両サイドに受け流しながら、歯の上正面から両端、下面へ広がる構造とされており、この点も安全面を意識した設計といえます。
ファインバブルを用いた洗浄
ファインバブルとは
ファインバブルとは、100マイクロメートル以下のとても細かい泡のことです。
特許の中でファインバブルは、マイクロバブルやウルトラファインバブルを含むものとして説明されています。
最近では、それを利用したシャワーヘッドなどの製品もあり、聞いたことはあるという方も多いと思います。
オーラバブルは、私たちが普段イメージする目に見える泡とは違う、肉眼では見えないほど小さな泡を口腔ケアに活用しています。
メリット
特許の内容を見てみると、炭酸ガスファインバブルの効果として
・洗浄効果
・制菌効果
・末梢血管の拡張による血流改善効果
が挙げられています。
さらに、器具の中に残った水についても、
炭酸ガスが水中の酸素を追い出すことで細菌が増えにくくなり、洗浄に使う水を清潔に保ちやすい、
と書かれています。
私たちが生きるのに酸素が必要なように、細菌の中にも酸素があると増えやすいものがいます。
そのため、水の中の酸素が減ると、細菌も増殖しにくくなると考えられます。
洗浄効果
オーラバブルの洗浄効果は、マウスピースからの水流による圧力という物理的な洗浄だけでなく、特許では、
ファインバブルが陰に帯電していることで、陽に帯電した汚れを吸着しやすい、
とも説明されています。
また、FBIA(ファインバブル産業会)によると、ファインバブルが洗浄に関わる要素としては、
気泡表面の帯電による電気的な相互作用、
油性の物体が気泡表面に集まる疎水性相互作用
が挙げられています。
ここからは、それぞれがどのようなメカニズムなのかを化学的に少し詳しく見ていきます。
●電気的な相互作用
特許にも記載されている、「ファインバブルが陰に帯電している」とはどういうことなのでしょうか。
ファインバブルは気泡ですが、使われている気体は二酸化炭素(CO₂)です。
そう聞くと、CO₂ そのものがマイナスの電気をもっているようにも感じますが、実際にはそうではありません。
CO₂ 分子は、炭素と酸素のあいだに電気陰性度(結合している電子を引き寄せる強さ)の差があるため、分子の中では電子の偏りが生じます。
ただし、構造が O=C=O の直線形なので、その偏りは分子全体としては打ち消し合い、CO₂ は無極性分子です。

つまり、CO₂ 分子そのものがマイナスの電荷というわけではありません。
では、なぜ「ファインバブルは陰に帯電している」と言われるのでしょうか。
ここで重要になるのが、泡と水の境目です。
水の中では、水分子同士は水素結合でつながっています。
ところが、気泡の表面では片側が気体になるため、水分子は水だけが存在しているときと同じようには並べません。
その結果、界面の近くでは、水分子の向きや、H⁺ や OH⁻ などのイオン分布が偏ります。
こうして、界面の近くに電気的な偏りをもった層構造ができた状態を、電気二重層といいます。
電気二重層とは、泡のようなコロイド状のものの表面近くに反対の電荷のイオンが集まり、そのさらに外側に、よりゆるやかなイオン分布の偏りが広がった構造のことです。
気泡が液体中を動くときには、泡だけが移動しているように見えて、実は界面のごく近くの液体や、引き寄せられたイオンの層の一部も気泡と一緒に動いています。
気泡がまわりに薄い層をまとったまま動いているようなイメージです。
この電気二重層のうち、「一緒に動く固定された層」と「その外側でより自由に動く層」の境目がすべり面で、その位置での電位をゼータ電位といいます。

このゼータ電位は、泡表面の電荷そのものではなく、泡の界面にできたイオンの層も含めて、外側から見たときにどれくらい電気的な影響をもっているかの目安なのです。
つまり、ファインバブルが「陰に帯電している」というのは、気泡そのものがマイナス電荷をもっているというより、気泡と水の界面にできた電気二重層が負のゼータ電位を示す、という意味になります。
なぜ負になりやすいのかについては、まだはっきり解明しきれていない部分があるようです。
一般には、気液界面では OH⁻ が集まりやすいことが一因となって、気泡表面は負のゼータ電位を示しやすいと説明されます。
また、この電荷は pH によって変わります。
通常の水(pH 5〜6以上の水)ではマイナスとなりやすい一方で、酸性に近づくとそのマイナスは弱まります。
これは、酸性では H⁺ が増えて、気泡のまわりのマイナスが打ち消されやすくなるからです。
つまり、オーラバブルのように水を使う機器では、ファインバブルは水の中で負のゼータ電位を示しやすくなります。
それにより、口腔内の汚れを構成する成分のうち、正に帯電しやすいタンパク質などと引き合い、汚れを取り除きやすくなると考えられます。

●疎水性相互作用
洗浄に関わるもう一つの化学的な根拠が、疎水性相互作用です。
ファインバブルの特徴として、水中にある油性の物体が気泡表面に集まりやすいと言われています。
疎水性相互作用とは、水になじみにくい成分同士が、水の中ではまとまりやすい性質のことです。
水は極性をもつ物質なので、油のような無極性の疎水性成分とはなじみにくい性質があります。
そのため、水の中では、油はバラバラに散らばるよりも、油同士、水との接触を減らすように集まります。
例えば、ドレッシングは、油部分は水に溶けず表面に集まって浮いていますよね。
よく振れば一時的に細かく分散しますが、水と混ざるわけではなく、しばらくするとまた油同士が集まります。
同じように、ファインバブルの表面のような気体と液体が接している気液界面は、水分子同士が水素結合でつながった水の中とは少し性質が異なります。
油のような疎水性成分は、水との接触を減らせる場所に集まる方が安定しやすいため、気泡表面にも集まりやすくなると考えられます。
口腔内の汚れには、食べ物の脂質など疎水性成分が含まれるものがあるため、それらがファインバブルに引き寄せられることで除去されやすくなると考えられます。

介護現場での活用
では、実際の介護現場において、オーラバブルはどのような場面で活用できそうなのでしょうか。
実際に使用したわけではありませんが、製品の特徴や現場での口腔ケアの課題を踏まえて考えてみました。
手技差が出やすい場面
口腔ケアは、どうしても手技差が出やすいケアです。
歯の残り方、歯並び、舌の汚れ、口の開けやすさなどによって難しさはかなり変わります。
その点、オーラバブルのように、機器を口にくわえて一定の洗浄を行う構造は、毎回のケアを人の技術だけに頼りすぎない、という意味で大きなメリットがあると感じます。
手技の差によって起こり得る、清潔の保ちにくさ、時間のばらつき、利用者と介助者の負担といった問題を、少しでも減らせる可能性があるからです。
開口が難しい方・拒否がある方へのケア
口腔ケアの介助において、口を開けてもらえない、途中で閉じてしまう、といったことはよくあります。
私自身、開口の指示が入りにくい方に噛まれたことがありますが、歯がある場合はもちろん、歯がなくても歯ぐきで強く挟まれるだけでかなり痛く、けがにもつながります。
また、口を開けてくれない場合に、少しの隙間からブラシを入れて、口の中があまり見えない状況で磨かざるを得ないことがあります。
すると奥まで入れてしまったり、歯ぐきを傷つけて出血させてしまったりした経験があります。
そう考えると、指やブラシを口に入れなくてよい、もしくはその場面を減らせるというのは、介助者側だけでなく、利用者さんにも大きなメリットだと感じます。
また、口腔ケアを嫌がる方は少なくありません。
その背景には認知機能の影響もありますが、それだけでなく、「痛い」「雑にされて不快」「口の中を見られたくない」といった気持ちがあることも多いと思います。
私たちも、人に口の中をじろじろ見られたり、雑に触られたりすれば嫌ですよね。
その意味では、人の手で磨く場面を減らせることは、利用者さんの拒否を減らせる可能性があります。
また、それによって介助者の気持ちの面での負担も減らせると思います。
ケアを拒否されること自体は珍しくありませんが、それが続くと、やはりメンタルにこたえることもあるからです。
これは極端な例ですが、実際に特定の利用者さんからの強い拒否が原因で、つらくなって辞めた人も見たことがあります。
誤嚥リスク
医療・介護の現場において、食事については、誤嚥や窒息が起きないように注意しながら、その人の飲み込みの力に食事形態や介助方法が合っているかを、リハビリ職の評価も聞きつつ慎重にアセスメントします。
しかし、歯磨きについてはどうでしょうか。
これは個人的な経験ではありますが、食事ほどケアの方法が知られておらず、その人の状態に合ったやり方が本当にできているのか、という評価も、食事ほどは着目されていないように感じます。
でも実際には、口腔機能が低下すると飲み込みが悪くなるのと同じように、ぶくぶくうがいがうまくできず、うがいの水でむせてしまうことがあります。
しかも、これは利用者さん側の機能の問題だけでなく、水を含ませる量やタイミングなど、介助者側の手技の差も出やすいところです。
その点、オーラバブルは、給水と排水を分けた構造によって、口の中に水がたまりにくいように設計されています。

さらに、特許では喉側への直接噴射を防ぐプロテクタも記載されており、水流がそのまま喉の方へ向かいにくい工夫がされています。
こうした点を見ると、オーラバブルは、単に口を洗う機器というだけでなく、歯磨きや口腔ケアの場面で起こりうるむせや誤嚥にも配慮した製品であるように感じます。
感染リスク
商品の特徴としては明記されていませんでしたが、個人的には、感染リスクの軽減にもつながる可能性があるのではないかと思います。
実際の口腔ケアでは、ブラッシングやぶくぶくうがい、咳き込みなどによって、利用者さんの唾液がけっこう飛びます。
でも、口腔内をしっかり見なくてはならないため、私自身も基本的にはフェイスシールドを着けてケアを行っています。
実際に使用したわけではないので断言はできませんが、HPの使用動画を見る限り、オーラバブルは使用者が機器をくわえて口を閉じた状態で使うため、ケアをする側の飛沫曝露のリスクを減らせそうな印象ではあります。
在宅での使用
この機器は大きな工事が不要とされているので、施設だけでなく家の介護にも導入を考えやすいかもしれません。
介助が必要な場合、食事の度に家族がケアをするのは大変です。
また、これは個人的な経験からですが、家族相手だと甘えが出て嫌がることがあります。
そのため、嫌がる・うまく磨けない、といった理由で十分に磨けず、「できないからやっていない」というように、ケアの優先順位が低いというケースもあります。
そうした中で、オーラバブルのように、本人にも介助者にも簡単にできる機器であれば、自宅での口腔ケアを、もう少し取り入れやすくしてくれるかもしれません。
注意点
●公式サイトでは、目立つ汚れがある場合はブラッシングを行うよう案内されています。
また、口腔ケアは口の中を観察する機会でもあります。
そう考えると、ケアを機器だけに置き換えるのではなく、施設などではスタッフがきちんと口腔内を観察し、異常がないか、きれいに洗浄されているかを確認する必要があると思います。
●対象は、軽介助下で座位保持が可能な方、または支持を用いて最大1分間の座位保持が可能な方とされています。
そのため、導入にあたっては、利用者さんの状態に合うかどうかを確認する必要があります。
加算について
介護施設向けページでは、オーラバブルの導入によって、口腔機能向上加算の取得につながる可能性がある、と示されています。
また、TAISコードを取得していることも、製品の価値の一つとして挙げられています。
加算とは、一定の要件を満たしたサービスを行った場合に、基本報酬に上乗せして算定できる報酬のことです。
介護報酬の加算は、介護業界で今後強化していく必要のある取り組みに対して、「その体制を整えて実施すれば、追加の報酬が得られる」という仕組みです。
事業所側が「報酬が増えるなら、そのケアを強化しよう」と考えるきっかけになるよう設計されています。
ただし、口腔機能向上加算は、単にオーラバブルのような機器があればいいというものではなく、厚生労働省の案内によると、口腔機能向上サービスとして「摂食・嚥下機能に関する訓練の指導または実施」を行っていない場合は算定できないとされています。
つまり、評価、目標設定、実施、記録まで含めた運用が前提です。
実際には、加算の要件は文章だけでは具体的に何をすればよいのか分かりにくかったり、細かな要件が多かったりして、算定のための整備が負担になることがあります。
また、本来はケアの質を高めるための制度であるはずが、加算を取ること自体が目的になってしまい、実際のケアより「加算のための対応」が優先になってしまうこともあります。
その点、オーラバブルは、加算算定を見据えた書類作成や運用面のサポートも行っているようです。
単に製品を販売するだけでなく、こうした加算の整備まで支援してもらえることは、事業所にとって大きなメリットになり得ると思います。
おわりに
オーラバブルについて知ったときは、歯磨きにファインバブル使うのはよさそうだな、と思っただけでしたが、医師が開発した製品であることを知り、それだけで安心感があるという印象を受けました。
ですが、特許の内容まで読んで製品について詳しく知ると、オーラバブルの魅力はそれだけではないと感じます。
この製品の本質は、洗浄力のあるファインバブルを、どうやって口腔内全体へ安全かつ効率的に届けるかという構造にあります。
その設計によって、口腔ケアの過程をできるだけ一度に簡単に行えるようにしていることが、現場での大きなメリットだと思います。
医療・介護の現場で考えると、この機器は日々の口腔ケアにおける手技の差を減らし、利用者さんと介助者の負担を軽くし、安全性を向上するための選択肢の一つとして、現場を助けてくれるものではないかと感じます。
ただ一方で、どれだけ良い製品であっても、現場が「いい!」と思うだけで導入できるわけではありません。
実際には、費用に見合うのか、現場で運用できるのか、誰が管理するのかという点まで含めて判断されます。
そういう意味で、加算が見込める可能性があることや、導入後の運用まで見据えたサポートがあることは、現場目線だけでなく、施設運営の立場から見ても前向きに検討しやすくなる材料だと思います。
食事にまつわるケアについては着目されやすいのに、口腔ケアはそこまで意識されにくいこともあります。
でも本来、口腔ケアも、その人の状態に合った方法を考えるべきケアの一つです。
オーラバブルは、そのことを改めて考えさせてくれる製品でもありました。
今までに使ったことのない新しいタイプの製品なので、まずは自分でも試してみたいですし、利用者さんに使ったときにどのような反応があるのかも見てみたいと思います。
公式サイトには、さまざまな施設向けの案内も掲載されているので、導入やお試しを考える場合には、まず相談してみるのもよさそうです。
本ブログでは、主に福祉用具や医療品が、現場でどのように受け止められるか、どのような場面で価値を発揮しやすいかといった点にも目を向け、医療・介護の現場の視点から、企業・事業者と現場をつなぐ橋渡しを意識して発信しています。
こうした視点をもとに、看護師としての現場経験・特許への知見を活かし、医療材料・ケア用品の解説、技術記事の執筆、製品レビュー、市場展開につながるサポートなどを行っています。
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※本記事の内容は参考情報であり、正確性を保証するものではありません。
製品の購入や使用はご自身の判断と責任でお願いいたします。
参照
オーラバブル株式会社 https://www.orabubble.jp/
株式会社Jアライアンス https://orabubble-care.jp/
一般社団法人ファインバブル産業会 https://fbia.or.jp/fine-bubble/fine-bubble-knowledge/action-and-utilization/?utm_source=chatgpt.com
厚生労働省 介護保険最新情報 https://www.mhlw.go.jp/content/001227728.pdf
マクマリー『マクマリー有機化学 第8版』、東京化学同人、2012年
卜部吉庸『化学の新研究』、三省堂、2019年
「洗浄器具」(WO2017/115836)小河原悟
