看護介護×サイエンス

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注射・点滴・褥瘡ケアに活かす「圧力」の話

以前、注射針のコーティング技術の記事の中で、注射による痛みを減らす方法の一つとして「針が細いと皮膚の痛点への刺激が少なくなり、刺す瞬間の痛みは軽減できる」という内容を書きました。 詳しくはこちら→注射の痛みを軽減する針の工夫 しかし、実は、痛くない注射のためには、針の細さに着目するだけでは不十分なのです。 そこに深く関係しているのが、「圧力」です。 今回は、看護現場での視点から、「圧力」を掘り下げ、注射器、点滴、褥瘡といった場面にどう関係しているのかを見ていきます。 この記事は『イラストで学ぶ 看護人間工学』を参考にしています。 看護の現場で活かせる人間工学の考え方を、図解とともにやさしく学べる一冊です。
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重心と転倒リスクを考える

先日、施設の利用者さんが散歩中に転んでしまい、今後の安全対策を話し合いました。この記事では、この方がなぜ転倒したのかについて、姿勢や重心の話を中心に、自分なりに考えたことをお話していきます。重心とは人間の姿勢の安定性を考えるとき、重心がどこ...
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溶血と検査と界面活性剤の関係

今回は、『溶血』という現象についてです。溶血とは血球が壊れることです。看護師にとっては、「溶血=採血の採りなおし」というネガティブイメージの言葉です。入院中の患者さんなら、謝りつつ採血しなおせばいいわけですが、在宅ではそう簡単にはいきません...
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感染対策と次亜塩素酸ナトリウムの特性②

前回の記事では感染症対策の基本について整理しました。感染症対策としては、基本となる手指衛生や消毒が重要であり、次亜塩素酸ナトリウム(ハイター)は強力な消毒剤として広く活用されています。今回は、この次亜塩素酸ナトリウムの特性や正しい使い方につ...
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感染対策と次亜塩素酸ナトリウムの特性①

今年は暖かい日が続いていましたが、ようやく冬らしい季節になってきました。寒さと乾燥が本格的になると気をつけたいのが感染症です。先日、感染についての外部研修に参加した際、「ハイター液に手を入れてしまうと消毒効果がなくなります。」という話を聞い...
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インスリンと体内の物質の移動を知る

インスリンは血糖値を下げるホルモンです。糖尿病の治療では、注射でインスリンを補充しなくてはいけない方が多くいます。インスリン注射と一口に言っても、実はたくさんの種類があります。体内で分泌されるインスリンは1種類なのに、なぜ作用の違うインスリ...
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糖尿病で起こるpHバランスの変化

糖尿病は世界的に増加している疾患の1つです。日本においても糖尿病とその予備軍は5~6人に1人と言われています。直接の死因にはなることはほとんどありませんが、様々な合併症を引き起こすこわい病気です。実際どの科にも糖尿病を持っている人がおり、在...
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pHバランスと呼吸の関係

施設や在宅看護に関わるようになり、看取りに立ち会う機会が増えました。看取りというと、ドラマによくある、『最期の言葉を残しその後静かに息を引き取る』という場面を想像する方が多いと思います。しかし実際多くの場合は、意識レベルが低下して会話できる...
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脱水による微熱

最近関わった方で、食べられなくなったため点滴をしていましたが、施設入所と同時に点滴をしないと決断した方がいました。病院と違い、在宅や施設だとそういった選択をされる方もいます。その方はずっと微熱が続いていたので、心配した介護士さんやご家族から...
医療・医薬品

フェジンをブドウ糖液で希釈する理由

点滴で投与される多くの薬剤は生理食塩水で希釈されますが、生食に混ぜてはいけない薬剤も存在します。その一つがフェジンという静脈注射用の鉄剤です。フェジンは、鉄コロイドが安定しやすい環境を維持するために、ブドウ糖液で希釈されます。この理由を理解...