介護保険外サービスについての検討会

以前の記事で「介護報酬が低いために介護職の待遇が悪く、離職が多い」という問題について書きました。

その解決策の一つとして「自由診療のように介護保険外のサービスを提供すること」を考えましたが、現実には介護保険外サービスの収益化は難しいという問題があるようです。

今回は新聞記事で気になった、経済産業省によって開催された「高齢者・介護関連サービス振興に関する戦略検討会」について、思ったことも含めて書いていきます。

経産省の検討会の内容

経産省は、今年1月31日に『高齢者・介護関連サービス振興に関する戦略検討会』を初会合しました。

会合では、「在宅高齢者向けの介護保険外サービスの拡充に向け、対象サービスや地域ごとのビジネスモデルの検討」を行っています。

背景には、「仕事と介護を両立する人(ビジネスケアラー)が増え、年間約9兆円もの経済損失が発生している」という問題があります。

今回の検討会では、「介護需要の多様な受け皿の整備」 を中心に議論が行われ、介護保険サービスとの競合、高齢者や専門職へのアクセスの難しさ、収益化の難しさなどが課題として挙げられています。

具体的な保険外のサービスとしては、

  • 高齢者向けの自費サービス(宅食、自費訪問介護、見守りサービスなど)
  • 一般向けのサービス(フィットネスジム、理美容、移動販売など)

が対象とされました。

また事例として、東京都武蔵野市では自治体と民間企業が連携し、高齢者に保険外サービスの情報を提供する実証実験する取り組みが行われ、今後の顧客基盤拡大が期待できるとしています。

経産省はサービス振興にあたって、補助金や税制優遇の導入は考えていないとのことです。

保険外サービスの普及は進むのか?

検討会では「保険外サービスをどのように広め、ビジネスとして成り立たせるか?」を議論しています。

その壁の一つとして「安く利用できる介護保険内サービスとの競合」が挙げられていますが、そのために補助金や税制優遇などの税金は使えない、という方針なので、「自治体と事業者がどのように連携し、利用者へ繋げるか?」 が課題となっているようです。

配食サービスは、もともと基本的に介護保険の対象外であるため市場が成り立っていますが、保険内で利用できるサービスがある場合なら、原則1割負担で安く使える方を選ぶのが当然ですよね。

しかし、これは現在介護保険内のサービスが充実しており、自己負担も少なく済んでいるからこそ成り立っている状況です。

介護保険は財源不足となっており、今後は自己負担額は上がっていくと思います。

保険外サービスの普及が進む、というよりは、介護報酬の低さや人手不足により、保険内サービス自体が減り、保険内サービスの自己負担も増え、結果として保険外サービスを利用せざるを得なくなる状況になっていくのではないでしょうか。

少子高齢化が進む中、自己負担の増加と担い手不足によって、介護サービスの選択肢はどんどん限られていくでしょう。

今後どうなるのか?

この記事を読んで、情報提供だけで保険外サービスが普及していくのか疑問に感じました。

しかし、今後保険内サービスの自己負担が増え、負担額の差が縮まることで保険外サービスの利用が一般的になれば、自治体やケアマネージャーなどを通じてサービスの情報提供することで普及の効果はありそうです。

現在介護保険の利用の調整を行うケアマネは、必要なサービスと利用者の経済状況を考慮しながら、保険内サービスを中心にケアプランを作成する役割を担っています。

私はケアマネの実務経験はありませんが、今後は増えていく保険外サービスも把握し、組み合わせて提案することが求められるようになるのではないかと思います。

最近議論されている高額療養費制度のように、今後は介護においても自己負担の割合が増えていくことは避けられないでしょう。

結局のところ、この記事を読んで改めて思ったのは、老後の介護に備えてお金を貯めておくのが最も確実な対策だということです。

参照

シルバー産業新聞 (2025年3月10日).保険外サービスのビジネスモデル確立へ 検討会初会合

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