医療・医薬品

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半固形栄養という選択②

前回の記事『半固形栄養という選択①』では、投与前から半固形化されている栄養剤について解説しました。 今回はその続きとして、液体で投与され、胃の中でゲル化するタイプの仕組みを取り上げます。 2025年8月10日のシルバー産業新聞では、森永乳業から「わのか」という胃内ゲル化型の製品が発売されたと報じられました。 このようなタイプの製品自体は以前からあるのですが、新しい製品が改めて発売されたことを考えると、経管投与用の製品は今もある程度の需要があるのでしょう。 この記事では、こういった製品に関連する特許明細書の内容をベースに、胃内でゲル化する仕組みを解説していきます。
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半固形栄養という選択①

日本では高齢化とともに誤嚥性肺炎が大きな課題となっています。 これまで当ブログでも、とろみ剤やKスプーン、カプサイシンなど、口から食べることを支える道具やアイデアを取り上げてきました。 一方で、病状などの理由から経腸栄養(胃ろうや経鼻胃管)を選択される方もいらっしゃいます。 日本においては延命を重視する文化のため、この方法は広く行われてきた一方、近年は必要性や倫理面についての議論がされており選択の傾向には変わってきている印象です。 この選択の是非について個人的な意見はあるものの、看護師としては、経腸栄養をできるだけ安全で快適に行うため日々の管理にあたっています。 今回は、経腸栄養で用いる半固形状の栄養剤に焦点を当てます。 使用する栄養剤は液体が主流ですが、場合によって半固形状のものを選ぶことがあります。 本記事では、経腸栄養の基本や半固形の栄養剤について、関連する特許も含めて解説していきます。 なお、本記事は筆者個人の見解・調査に基づいた内容です。 内容の正確性を保証するものではなく、紹介する製品の購入・使用は必ずご自身の判断と責任で行ってください。 記事中のリンクにはアフィリエイトを含む場合があります(PR)。
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注射の押しにくさを解消する『プランジャーアシストリング』

これまでの記事では、注射の痛み軽減に焦点を当て、針の工夫や圧力の仕組みについて解説してきました。 →「注射の痛みを軽減する針の工夫」「注射・点滴・褥瘡ケアに活かす『圧力』の話」 しかし、注射の快適さは針などの使う物だけで決まるわけではなく、適切な手技があってこそ、これらの技術は効果を発揮します。 実際には、注射器の「押しにくさ」が医療者の負担となり、その結果、痛みなどの患者の苦痛につながることもあります。 今回は、こうした課題に対応するための補助具『プランジャーアシストリング』に注目します。 この記事では特許の情報をもとに、製品の特徴や注射器の構造、さらに「押しにくさ」を生む物理的な要因について解説します。
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注射の痛みを軽減する針の工夫

「注射って痛いからきらい…」そんな声は、大人も子どもも関係なく、誰からもよく聞かれます。注射の痛みと聞くと、多くの方が針を刺すときのチクッとした痛みを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし実際には、針を刺す・進める・薬液を注入する・抜く、...
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傷を閉じるテープ『ファスナート』と『ステリストリップ』

今回は、一般にはあまり知られていない皮膚接合用テープについて、ニチバンと3Mのテープの特許をもとに、その構造や特徴をわかりやすく解説していきます。
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塗る・貼るで皮膚を守る『ワセリン』と『フィルムドレッシング』

なお、本記事は筆者個人の見解・調査に基づいた内容です。 内容の正確性を保証するものではなく、紹介する製品の購入・使用は必ずご自身の判断と責任で行ってください。 また、記事中の製品リンクにはアフィリエイトを含む場合があります(PR)。
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スムーズな排出のための尿道カテーテル設計

導尿は、排尿が難しい場合に行われる代表的な医療処置の一つです。 しかし、痛みや違和感が生じやすく、1日に何度か定期的に行う必要があることから、負担を感じやすい処置でもあります。 今回は、導尿に使用される尿道カテーテルについて、ある特許に注目し、導尿の問題やカテーテルの工夫について解説していきます。
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カリメート経口液から考える薬の分散技術

今回は、以前便秘の問題とともに取り上げたカリメートという薬について、続きのお話です。以前の記事はこちら→カリメート内服で便秘になる理由カリメート内服による便秘に困っている、という話をしましたが、副作用以外にも、この薬で問題になりやすいのが飲...
ケア用品・福祉用具

むくみに効く弾性ストッキングとその仕組み

みなさんはむくみに悩んだことはありませんか? 看護や介護の現場でも、むくみ(浮腫)はとても身近で重要なテーマです。 今回は少し前に参加した研修で学んだ、浮腫のケアについて書きたいと思います。 リンパ浮腫セラピストの養成講座への勧誘も兼ねた雰囲気ではありましたが、リンパドレナージの基本や弾性包帯の巻き方など、実践が多く有意義な研修でした。 この記事では、浮腫について、体内の循環や浮腫改善のメカニズムなどにも着目して解説していきます。 なお、本記事は筆者個人の見解・調査に基づいた内容です。 内容の正確性を保証するものではなく、紹介する製品の購入・使用は必ずご自身の判断と責任で行ってください。 また、記事中の製品リンクにはアフィリエイトを含む場合があります(PR)。
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カリメート内服で便秘になる理由

今回は、高カリウム血症治療に用いられるカルシウムポリスチレンスルホン酸(一般名、以下Ca型イオン交換樹脂)/製品名:カリメート を服用している利用者さんのケースについてご紹介します。 この方はほとんど臥床状態にある、いわゆる寝たきりに近い状態なのですが、薬の内服を始めたところ、便がカチカチに硬く排便が困難になっていまいました。 便秘はこの薬の副作用として報告がありますが、この方の症状はとてもひどいケースでした。(個別例であり、症状の程度には個人差があります) このケースをきっかけに、薬の作用機序の理解しながら便の性状に影響し得る要因を整理したいと思います。 この記事では高カリウム血症、カリメートの作用機序と便秘との関連について解説していきます。 なお本記事は筆者の個人的な見解や調査に基づいた内容です。 正確性・完全性を保証するものではなく、特定製品の宣伝や推奨を目的とするものでもありません。 内容の利用は必ずご自身の判断と責任でお願いいたします